重力ピエロを読んで

伊坂幸太郎の重力ピエロを読みました。

私はこの作家のファンです。きっかけはアマゾンのランキングだったかなあ。

久しぶりに小説を読もうと思って人気な本のリストを眺めていてアイネクライムナハトムジークという不思議なカタカナの羅列に惹かれて読み始めた。もちろんおもしろかった。

それで、先週、同作家の重力ピエロを読みました。

重力ピエロは余計なことで悩みたくないと避けてきた推理小説だったけれど伏線がわかりやすくて主人公を追い越して解いていけた。これぐらい簡単に話が読めるのなら楽しめる。暗示する行動を目にしてるのになんで気づかないのってもどかしくもあった。ヒントがあって、ヒントで解ける出来事が起きて、しばらくしてヒントを思い出す出来事が起きるという3段構え。丁寧。

 

中盤で予想した通りの犯人だったわけだけれど、動機や背景、登場人物たちの物語があって面白かった。ネタバレになってしまうから書けないけれども、生まれながらに罪を犯す宿命を背負ってしまった犯人には同情しました。

 犯人は自らの存在が愛する人への悪事によって成り立っていたことに気付いた時から、復讐をするべきかずっと悩んでいたんだと思う。自らを否定することになる。殺害するとき迷いなく犯行できたのはそれだけ愛が深かったんだなあと思ってしまった。一緒にいて幸せだった時とか復讐という屈折した気持ちも一緒に湧いてしまっていたのかもしれない。業が深い。悲しい。

謎を解いた主人公は「自首なんてしなくていいじゃん。今まで誰よりも悩んだんでしょ。今更、誰かが口を挟める問題じゃないんだよ」と言っていた。

手錠をかけて正義の味方。って感じじゃなくて人間味のある展開でよかった。サッカーボールぶつけることもなかった。