若い読者のための世界史を読んだ。

世界史なんて小学校、中学校、高校と進学するたびに学んできたけれども、一年ぐらいかけて学んだからか全体を意識することはなかった。あらためて、古代から現代まで一気に読み終えてみると綺麗に線が繋がって面白かった。ページをめくるごと、石に穴を開けて石器を作っていた人類が原子力まで扱い、空を飛ぶ現代へと進歩していく。歴史の話はいつも「むかしむかし」で始まり、すべて本当の話で、長い物語の痕跡は今も残っている。

 

歴史が教えてくれるのは、なぜリンゴが落ちるのか。という疑問に対して、「10年前に金木さんが蒔いたリンゴの種が育ったからだ。」という事だと感じた。これはニュートンにだってわからない。けれども10年後にリンゴを落とすためには今リンゴの種を植えておかないといけない。答えは誰かの思い出の中にある。

 

現代よりいい時代なんてないかもしれない。現代まで人が生まれて死ぬまでの100年に虐殺の現場に立たない時代なんて滅多になかったような気がした。古代はまだ物事を科学的に説明できなかった。神話の中に世界はあった。争いはたくさんの悲劇を生むが、支配は永遠に続かなかった。そして支配された地域は高い文明を取り入れた。争いながら人類は共に前に進んできた。

 

先月学んだ哲学ともリンクして面白かった。哲学を生んだギリシャ文明は同じくエジプトやメソポタニア文明と並ぶ最古の文明であったが、他の文明が2000年以上も同じ暮らしをしている中、芸術や科学を愛して進歩し続ける価値観を作り出した。全盛期のギリシャは何倍もの敵の侵略に耐え、衰退後には世界にその素晴らしい文化を残した。そして、哲学者アリストテレスの弟子のアレキサンダーはギリシャ〜エジプト〜インドという広大な土地を支配した。その時代の世界すべてのようなものだった。

 

本編の最後にこれからはいい時代になるだろうと書いてあった。しかし、50年後のあとがきという次の章には、その後、第2時世界大戦を経験したことが書いてあった。

 

僕はそのさらに先の時代を生きている。今度こそ、これからいい時代になるはずだ!