R62号の発明を読んだ
覚えているうちに。
今日の朝、R62号の発明を読みました。R62号の発明と鉛の卵という短編集の中の一話。安部公房は国語の教科書に出てきた赤い繭で興味を持って何冊か読みましたが消化不十分のまま本棚に並べてありました。この本を開くのは2度目。
あらすじは 、
元技師がR62号というロボットに改造されて、資本家グループの価値観で労働者を最大限活用できる機械を作る。その機械を作動させると休みなく作業を続けなければ指を一本ずつ落とされ、最後は心臓を突かれるという鬼仕様。7本目切られた時、作業者は自殺。それを見ていた資本家グループは感激するがパトカーの音で散っていき、R62号とグループの代表の二人が残される。代表は青ざめながら「何を作る機械だったんだ」と問い続けるがR62号は黙ったまま。
後味が悪い話でした。惨殺される人はいるし、問いの答えにはもやもやするし、サラリーマンの運命を予言してるようでもあった・・・
資本家と労働者がでてきて、資本家は強欲で下品に描かれていて、読んでいる途中で資本主義批判がテーマの話かな思いました。
R62号が何も答えない理由は、ロボットは人間の心の鏡ってことなんじゃないかなと思いました。人間がそう作ったからそう動いてしまった。曖昧な概念が具体的なものになった時、世にも恐ろしいものが出来上がったんじゃないかと。
この作品で伝えたいことは資本主義が行き過ぎると自然にこういう仕組みが出来上がってしまうということなんじゃいかなと思いました。機械だけではなく、法律や組織、人間関係もなにもかもそうなのかもしれないです。
資本家じゃなくても周りから最大限の利益を取ってやろうなんて考えてたら、誰も幸せにできないかもしれないですね。
って思って書いてましたがwikipediaだと全然解釈違う・・あてにならず
時代の変化で感じ方が変わったのかもしれないです。ITエンジニアで、機械って何ができるのかなんとなくわかってますし、機械に仕事奪われた後の社会に生きているので。
この短編だけならすぐ読めるので、図書館や立ち読みで読んでみるといいと思います。